大判例

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大阪高等裁判所 昭和54年(ネ)1002号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二控訴人らは、保険契約の免責条項にいう「重大な過失」とは、単なる著しい不注意に止らず、信義則違反行為、公序良俗違反行為、又は故意に類する行為によつて事故が生じたときに限ると解すべきであり、亮の行為はそれに該らないと主張する。しかし、当裁判所も原判決理由説示と同様免責条項については通常の意味での重過失の有無を判断すれば足り、控訴人主張のような意味内容を有していると解すべき特段の根拠は存しないものと考える。

そして本件事故は、電車が高速で通行する専用軌道上で発生しているが、現場は金網をはつた柵により一般人の立入が禁止され、横断のためには特に踏切が設けられているのであるから、立入禁止を無視してあえてこのような危険な場所に立入る者にはそれ自体重大な注意義務違反があるのみならず、立入つた以上は、進行して来る電車から自己の安全を守るために特に強い注意を払う必要があるというべきである。

然るに、亮は立入禁止を無視して柵内の軌道敷に立入り、上り線路内を歩行していたところ、柵外を通行中の波多野サダ子から「電車が来るから危いですよ」とわざわざ注意されたにもかかわらず、そのまま歩きつづけた。

また、本件事故当時は日没後約一時間を経過し現場付近はかなり暗かつたものの、前照灯を照射される側の亮としては、電車運転手が人影を認識する遠くから、前照灯をつけた電車に容易に気付き得た筈であるのに、予め退避しなかつた。更に電車運転手室幸三は本件事故現場の約五〇メートル手前で亮を発見して直ちに警笛を吹鳴し、急制動の措置をとつているのであるから、この警笛を聞いてからでも退避の行動をとれば電車を避ける時間的余裕があつたものと考えられる。

これらの点からすると、亮の行動は通常人の行動としては理解できない極めて不注意なものであつて、免責条項上の「重大な過失」があつたものというほかはない。

(奥村正策 志水義文 井関正裕)

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